近年、医療機器の市販後安全管理と医療事故への対応に関する制度が相次いで改正されています。韓国食品医薬品安全処(MFDS)は2026年9月22日、「医療機器の副作用等の安全性情報の管理に関する規定」を改正しました。また、韓国保健福祉部が発表した「医療事故被害救済及び医療紛争調停等に関する法律」の主な改正事項も、2027年5月27日から施行される予定です。
両制度は異なる法体系に属しますが、医療機器の製造・輸入業者にとっては、製品販売後に発生する苦情(Complaint)、製品上の問題、医療事故に対する市販後の管理が一層重要になっているという共通の動きに注目する必要があります。
1. 患者への被害がなくても報告対象となる場合があります
今回のMFDS告示の改正で特に注目すべき点は、有害事象の報告対象がより明確になったことです。従来の「(その他の重大な情報又はその他の有害事象として)食品医薬品安全処長が報告を指示した場合」という条件の文言が削除され、患者に実際の健康上・臨床上の影響が生じていなくても、潜在的に危害を及ぼすおそれのある医療機器の欠陥・誤作動等の製品上の問題が、報告対象として明記されました。このような製品上の問題は、該当する四半期の終了後1か月以内に報告しなければなりません。例えば、処置中に医療機器が一時的に停止したものの、医療従事者が直ちに別の製品に交換し、患者には何の被害も生じなかったとします。従来は「患者への被害がなかった」ことに注目していたとしても、今後は同じ誤作動が再発した場合に患者に危害を及ぼす可能性があるかどうかまで評価し、報告の要否を判断する必要があります。
したがって、製造・輸入業者は、顧客からの苦情、返品、修理記録、製品の誤作動、ソフトウェアのエラー等を単なる品質問題として処理するだけでなく、苦情(Complaint)の受付、安全性評価(Safety Assessment)、MFDSへの報告要否の判断へとつなげる社内手順を確認する必要があります。現行の規定も、重篤な有害事象だけでなく、再発した場合に重篤な有害事象を引き起こす可能性のある事例や、海外政府による安全対策等を安全性情報の収集対象に含めています。
2. 医療事故が医療機器の問題に関連する可能性にも備える必要があります
2027年5月27日から、医療事故の説明、調停・鑑定及び被害救済に関する制度が強化されます。改正法では、「重大な過失のある医療行為」の範囲が具体的に示されています。例えば、別の患者に手術・輸血を行った場合、手術中に医療機器又は異物を体内に残した場合、医薬品の種類・用量・投与経路等を誤って使用した場合、必要な基本的安全管理義務に重大な違反をした場合などが該当し得ます。医療機器企業が注目すべき点は、医療事故の原因が常に医療従事者の過失だけに帰せられるとは限らないことです。例えば、手術中に医療機器が突然作動しなくなり、患者に損傷が生じた場合、医療従事者の使用上の過失か、医療機器自体の欠陥・誤作動か、あるいは保守管理上の問題かが併せて検討される可能性があります。したがって、製造・輸入業者は、医療事故発生時の原因調査に備え、ロット/シリアル情報、製造・出荷検査記録、修理及び苦情の履歴、リスクマネジメント及びCAPAの資料を迅速に確認できる体制を整えるとともに、事故に関係する製品の回収・保管、海外製造業者との調査・報告手順も事前に定めておく必要があります。
3. 企業が今確認すべき事項
今回の制度変更に対応するためには、まず苦情対応(Complaint Handling)及び有害事象報告(Adverse Event Reporting)のSOPが、患者への被害のない製品上の問題も評価できる内容になっているかを確認する必要があります。営業・サービス部門が受け付けた一般的な製品苦情や修理情報がRA/QA部門まで伝達されるかどうかも、重要な確認事項です。特に海外製造業者の製品を韓国で輸入・販売する場合は、韓国内の輸入業者と海外製造業者の間の安全性情報の交換手順(Vigilance Agreement)を明確にする必要があります。韓国内で発生した有害事象をいつ海外製造業者へ通知するか、MFDSへの報告要否を誰が判断するか、海外で発生した同一製品の安全性上の問題を誰が韓国の規制の観点から検討するかなど、役割と責任を事前に定めておくべきです。
MDREXは、今回の制度変更に合わせ、医療機器の製造・輸入業者による苦情及び有害事象の報告体制の確認、関連SOPの整備、MFDSへの報告対象の判断と対応を支援します。また、海外製造業者と韓国内の輸入業者の間の安全性情報の交換手順(Vigilance Agreement)や医療事故発生時の対応体制の構築も支援できます。今回の改正を機に、貴社の市販後監視(Post-Market Surveillance)及び安全監視体制(Vigilance System)をご確認ください。